はじめに
西会津という場所をみなさんはご存知でしょうか?会津とつくから福島なんだろうけど聞いたことはない、という方がほとんどではないでしょうか。僕がそうでした。
そんな僕がどうやってこのイベントをキャッチして行くことになったのかというと、それは昨年の12月に行われたミズジャパンさん主催のTent Sauna Festivalでの出会いがきっかけとなります。
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そのフェスには単身で行ったのですが、そこでサウナ仲間と会い、プロ熱波師の五塔熱子さんとも会い、そして西会津から視察にお越しの佐々木祐子さんご夫妻ともお会いしました。
その佐々木祐子さんこそが今回のイベントの主催の方だったのです。
テントサウナを使ったイベントを催して町おこしをする、という情熱に心を打たれた僕らサウナ仲間は、五塔熱子さんを核として皆で連れ立って西会津のイベントに参加することにしたのでした。
出発
10時に西会津に着くことを目指すと、車での出発は4時。うっかり2度寝したのですがギリ間に合い、無事みんな集合して予定通り出発。
思いのほか道は車が多めではありましたが、スイスイと車は進みます。
福島に近づいていくにつれ、空が灰色の度合いが濃くなっていくのに雪の予感を感じました。
郡山に入ると雪景色。そして西会津に入ると厚く積もった豪雪の景色。テントサウナからの雪ダイブへの期待が高まります。
会場案内
今回会場になったのは西会津国際芸術村という廃校になった中学校を再利用したアート施設。雰囲気がありまくりで最高です。
参加者は満員で20人程。トークセッションが行われる教室がいっぱいになります。
まずは会場の案内ということで、芸術村代表の矢部佳宏さんの案内のもと展示物を見て回ります。
この芸術村では、国内外の芸術家を招いてアトリエを提供して、数ヶ月滞在しながら作品を作ってもらう活動も行っているようで、そうして作られた作品の一部が展示されています。
掛けると視界が上下さかさまになるゴーグルや、レゴで作られたラテアートマシン、古川利意さんという御年94歳になる大御所の芸術家の版画や水彩画の作品群など様々な展示物があり見応え充分でした。
西会津の説明
さて、一通り芸術村を見終えた一行は教室に戻り、トークセッションがスタート。
まずは西会津国際芸術村の代表・矢部さんから西会津についての簡単な紹介。
西会津町は福島県の西部にある豪雪地帯で、町の西側は新潟県との県境になっています。
町を代表する歴史上の偉人は、あの野口英世、…の手を手術し英世が医者を志すきっかけを作った渡部鼎など。
ジョセササイズの紹介
続いて日本ジョセササイズ協会の会長・鈴木孝之さんによる、ジョセササイズの紹介。
ジョセササイズというのは、雪国では避けて通れない冬の作業である「除雪」をエクササイズと捉えようという取り組みの元に生まれた新しい概念です。
西会津のような豪雪地帯では、冬は雪が降る度に除雪を行わなければならず、それも屋根の上まで雪が積もることもあるようで、一度の除雪に1時間以上かけなければならないこともザラにあるようです。
そして一度除雪しても雪が降ればまた同じ事をやらなければならない…といういわば苦行のようなものを捉え方を変えることでなんとかならないかと考えたところ、除雪は「作業」じゃなくて「エクササイズ」だというところに行き着いたのです。
そして二つの言葉を掛け合わせた「ジョセササイズ」という言葉が生まれ、鈴木さんと矢部さんがたまたま除雪について語り合ったときに化学反応が生まれ、瞬く間(30分くらい)に協会の設立とロゴの作成が行われ、活動がスタートしました。
マニュアルブックやwebサイトやwebアプリ、LINEスタンプを作成したり、動画の投稿やfacebookグループで仲間(ジョセサー)との情報共有をして活動の幅を広げ、様々なメディアで取り上げられることになり、今なお進行形で注目を集めているのだそうです。
ミズジャパンの紹介
そして今回テントサウナの貸し出しと設営を行ったミズジャパンの大泉寛太郎さんによる会社紹介。
サウナ好きの友達3人が、サウナを広める活動をしようと志して、フィンランドを旅して「自然の中のサウナ」と出会って感銘を受け、その後に知ったテントサウナに可能性を感じ、テントサウナの布教活動として販売・貸し出し等を行っているのだとか。
皆さん本業は別にあって、空いた時間でミズジャパンとしての活動をしているのだそうです。
株式会社の名を冠していますが、一企業というよりはSaunaCamp.さんやTENT SAUNA PARTYさんに近い印象を受けました。
トークセッション
いよいよトークセッション。熱子さんをMCとして、ジョセササイズ協会の会長・鈴木さんと副会長・矢部さん、そしてミズジャパンの大泉さんとでサウナとジョセササイズについて語り合うというもの。
だったのですが、熱子さんがあまり仕切りに注力しなかったり、矢部さんからがんがんサウナについての質問が出たり、なんか自由な感じでセッションが行われました。
色々と話はありましたが、結論としてジョセササイズとテントサウナは相性が良いよね!これらを通じて町おこししようぜ!って感じになったと思います。確か。(僕の眠気がピークに達していたのでうろ覚え。てへぺろ)
テントサウナ
さて、トークが終わったらいよいよメインディッシュの雪上テントサウナの時間!
雪上テントサウナ!贅沢な環境!今日はこのサウナで整っちゃいます♪#おいでよ西会津 pic.twitter.com/26ysj1NEWE
— ktr (@ktrktrktr) February 2, 2019
水着に着替えていざ外へ!めっちゃ寒い!
急いでテントサウナへとなだれ込みます。
ミズジャパンさんの準備のおかげでコンディションは最高。雪上に設置するにあたり、テントを張る一角を除雪してペグを打てるようにして、下にはベニヤ板を敷いてくれたそう。薪の燃やし具合も完璧でサウナストーンも熱々。本当に彼らに感謝。
そしてこうなると熱子さんの出番です。巧みな話術と明るさで皆を巻き込んで、ロウリュしてアウフグースを披露していきます。
イベントにはサウナーの他にもサウナが苦手な人も多くいたのですが、みんなロウリュで立ち上る水蒸気の熱さを感じたり、アウフグースの視覚的な楽しさや送られる風のまろやかさにうっとりしたりと新しい体験にニッコニコ。
何度もロウリュとアウフグースを繰り返して、時には撮影隊のために蒸気が立たないようにエアロウリュ(水を掛けたふりをするだけ。要は何にもしてない)をするのですが、みんな本番のロウリュのように完璧なリアクションをしたり。
そうして20~30分くらい経ったでしょうか、みんなの暖まりも良い感じになったところで皆せーので外へ!
一列に並び、合図とともに雪にダイブ!!!
冷てー!けど最高に気持ちいーー!!
毛穴がギュッと締まるのがわかる!水では味わえないこの感覚、プライスレス!
ダイブ後に試しにパーカーを着て外でたたずんでみましたが、体は内側から暖まっているし毛穴も締まっているので全然平気。20分くらい外にいても全く問題ありませんでした。
テントサウナに戻れば熱子さんのエンドレスなロウリュとアウフグース。暖まったら雪へとダイブの幸せループ。
こういうときの熱子さんは本当にすごい。ロウリュはストーンの状態を見ながら的確に点てていくし、アウフグースは瞬時に空間に合わせてタオルを振って動きに無駄がない。一切休むことなくずっと立ったままロウリュとアウフグースをして、ストーンの熱が落ちてきたらトークで場を暖め続ける。というかトークはロウリュのときもアウフグースのときも途切れることがない。
こういった献身があるからこそ、皆のテンションが上がっていき、一体感も生まれてハッピーな空間が作られていきます。
熱波師は数多くいますが、テントサウナでここまでのパフォーマンスを発揮できるのは熱子さんしかいないと断言できます。そのくらい素晴らしかったです。
さて、そしてちょっと落ち着いたところで僕もひと仕事。
というのも、今回のイベントにHUKKA DESIGNさんが10種類以上もの製品を体験用に提供して下さったのですが、イベントとHUKKAさんを繋いだのが僕だったのです(えっへん!)。
なので、皆さんにHUKKAさんの製品の説明をして、製品を体験して頂きました。
特に好評だったのが、マッサージ用品のカッサストーン。
かっさを知っている人もそうでない人も、カッサストーンのフィット感や心地よさを気に入ってくれて、実際にその場で購入してくれる方も何名かいらっしゃいました。
他にもマッサージ用としてもオブジェとしても使えるトントゥだったり、熱々にして水をかけると顔を出すおじさんだったり、噴水だったり、ソーセージを温めるやつだったりを色々試しました。
おじさんも噴水も残念ながら不発に終わってしまったのですが、試行錯誤できたのはとても楽しかったです。
で、そんなこんなしていたら、テントサウナの時間も終わりに近づいてきて、熱子さんが仕上げのロウリュ&アウフグースを5ターンくらい連続でやって最後にみんなでまた雪ダイブしてフィニッシュ!
みんな大満足で懇親会の会場へと移ります。
懇親会
懇親会では色々な方と色々な話をしましたが、印象に残った話をいくつか紹介すると、まず西会津の町おこしメンバーの方々について。
実は今回のイベントを主催しているメンバーは純粋に西会津生まれ西会津育ちの人というよりは、西会津に移り住んできた人たちが多いのだとか。
その土地の素晴らしさに気づいた人たちが町のみんなを巻き込んで活気を与えていく姿勢はとても素敵だなぁと思いました。町の方々が協力的なのも良いですよね。
お次はサウナの歴史の話。METOSの顧問をされている神山敏さんがいらっしゃったので「なぜ日本のサウナはフィンランドから輸入されたのにカラカラでアツアツな作りになったのか?」ということを伺いました。
実は、輸入したての頃はフィンランドと同じセッティングでセルフロウリュも可能だったそうなのです。でも、ちょうどいい具合にストーンに水を掛けることが出来ずに、桶いっぱいの水をジャバッと掛けてしまう人が続出して機械が壊れてしまうことが多発したのだとか。そのためセルフロウリュは禁止になってしまったそうです。
また、当時の利用者は肉体労働者やタクシー運転手などがちょっとした休憩を目的に来ることが多く、「短い時間でいかに暖まれるか」というのが求められたため、店舗間で温度の上昇の競争が生まれていったそうです。そうしてカラカラでアツアツないわゆる「昭和ストロング」なサウナ文化が定着していったということです。
他にも、ジョセササイズの未来について話したり、ミズジャパンの成り立ちについて詳しく聞いたり、矢部さんが猿と戦争したエピソードなどを聞いてあっという間にお開きの時間になり、夜も良い時間にだったのでバタンキューで気持ちよく眠りました。
そして翌朝。本当は日曜もイベントは続いていて、ジョセササイズ体験とテントサウナが待っていたのですが、同行した仲間の都合もあって泣く泣く西会津を後にしました。
おわりに
今回のイベントは個人的に大満足でしたし、参加者の笑顔からみても大成功と言えたのではないでしょうか。
主催者の佐々木さんの情熱が皆の心を動かして一つに集約され、大きな形となったように思いました。例えるとスイミーみたいなことです。
- 作者: レオ・レオニ,谷川俊太郎
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今後もこのイベントが恒例になったら嬉しいですし、ジョセササイズももっと普及して欲しいですし、何より西会津が活気づいて欲しいです。
皆さんもぜひ今後の西会津の町おこし活動に注目してみて下さい。
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