はじめに
YouTubeでも視聴できるサウナチャンネル『&sauna』という番組のリポーターをされている豊澤瞳さん。
番組の中における豊澤さんのフラットにサウナのレポートをされる姿がとても素敵で、その内側にどのような想いがあるのかを知りたくなって今回インタビューする機会を頂きました。
お話を伺って感じたのは、豊澤さんはまさに「等身大でありのままに生きる人」だということ。どこを切り取ってもありのままに映る豊澤さんは、コロナ時代で多くの人が気付き始めた「本当に大切にすべき豊かさ」のひとつの答えを示して下さっているように思えました。
もちろん主軸はサウナの話になりますが、豊かな生き方の一例としてもお楽しみ頂ける内容になっているかと思います。
インタビュー
自分と自分じゃない部分との境目がなくなっていく感覚
-- 豊澤さんとサウナの出会いを教えて頂けますか?
私がサウナにちゃんと入るようになったのは、2020年の春から『&sauna』のリポーターを務めるようになったことがきっかけです。
それまではサウナが苦手というわけではありませんでしたが、別にあってもなくても良いくらいにしか思っていませんでした。
一方で水風呂に関してはずっと親しみがあって、そもそも1歳から中学生まで水泳をやっていたので水に浸かることが大好きでしたし、高校でバレーボールをはじめてからは運動後のアイシングとして積極的に交互浴を行っていました。
-- サウナ好きだから番組へのオファーが来た、というわけではないんですね。
そうなんです。
ただ『&sauna』のリポーターのオファーが来る直前にも、偶然『日曜日の初耳学』という林修先生の番組でサウナ体験をするロケを行っていて、オファーが来た時には「サウナに呼ばれているのかもしれない」と感じましたね(笑)
リポーターを続けていくうちに徐々にサウナの良さがわかるようになって、夏頃には「サウナに入りに行く」という意識でプライベートでも温浴施設に行くようになっていました。
-- はじめて”ととのい”を感じた時のことは覚えていますか?
はい、覚えています。
実ははじめのうちは言われたお作法通りにサウナに入っても「これがととのう…なのかなぁ?」くらいにあまりピンと来ずにいました。
ある時「北海道ホテル」という施設でのロケの後そのまま宿泊ということになって、そこでゆっくりとサウナに入ったときに「これだ!」と感じたんです。
休憩しているときに、身体の表面が空間とどんどん馴染んでいって、自分と自分じゃない部分との境目がなくなっていく感覚になりました。
強制的に悟りの境地に連れて行かれたような感じで、ヨガの瞑想で得られるものに近いように思いました。
-- イメージ的にサウナとヨガって相性が良さそうだと思っていましたが、通ずるところがあるんですね。
そうですね、サウナとヨガはとても相性が良いと思います。
実際、ヨガをやっている人にサウナを勧めて体験してもらうと大体ポジティブな反応が返ってくるんです。
ヨガでの悟りは修行を重ねた上でようやくたどり着けるものなんですが、サウナだとカジュアルに達せられるのが良いですね。
サウナは生活を豊かにするプラスアルファ
-- 施設での過ごし方をお伺いしたいのですが、豊澤さんは普段どんな温浴施設に行かれますか?
ホテルサウナ、銭湯サウナ、スーパー銭湯など色々な温浴施設に行きますね。札幌を拠点に活動しているので比較的色んなところにアクセスしやすいんです。
サウナに行くタイミングとしては、休みの日に行くことが一番多いですね。夫も大のサウナ好きなので、休みが合うときは一緒にちょっと遠出してサウナに行ったりします。
入浴時間はだいたい2時間半くらいです。サッと入って出てしまうのはもったいなくて、溶けるまで入っていたいですね(笑)
セット数も施設や気分によってバラバラです。サウナ室が複数あれば全部入りますし、温泉があれば交互浴をすることもありますし、外気浴が気持ちいい場所だったらそこでゆっくり寝て過ごすこともあります。
サウナだけに限らず、あるもの全部まるっと楽しみたい派なんです。
-- サウナに通う頻度はどれくらいですか?
だいたい週1回ですね。仕事に余裕があって時間が空いていると2回になることもあります。
私はうしろに予定がないときに入るサウナが好きで、時間を気にせずに自分の心ゆくまで入っていたいんです。
そうすることで、その週に溜まった疲れをリセットできて、リフレッシュになるんです。そこで切り替えて「また次の週頑張ろう!」ってなります。
-- 豊澤さんにとってのサウナはリセットやリフレッシュといった意味合いなのですね。
はい。私は家だと湯船を張らずにシャワーで済ませてしまうので、施設でゆっくりと入浴を目的に過ごすことはとても大切な時間なんです。
-- そうなんですか?!勝手なイメージですが、モデル業もされている豊澤さんは日々のお風呂も丁寧に過ごされていると思っていたので、結構意外に感じています。
よく「半身浴してそう」とか「朝はスムージー飲んでそう」とか言われるんですけど、全然そういうことはしていないんです。コンディションの整え方は「走ればなんとかなる」と思っているような生粋の体育会系人間なんです(笑)
なんだったらうっかりメイクを落とさずに寝てしまうときもあるくらいで…。それでも肌が荒れることがないのはきっとサウナのおかげですね。
そう、肌のことで言えばサウナに通うようになって化粧水が全然減らなくなりましたね。肌が化粧水をはじいてしまうんです。
そのことを専門の先生に聞いたら「水分が十分保たれている状態」らしいです。
-- 豊澤さんにとってサウナは心と身体とどちらの方に作用している比重が高いですか?
私の場合は身体ですね。心に関しては寝れば元気になっちゃう体質なので(笑)
でもサウナに入ったあとの睡眠はいつも以上にぐっすりできているように感じますね。
身体の方もちょっとしたケアや調整といった感じなので、正直「サウナがないと生きていけない」とは思っていません。生活を豊かにするプラスアルファですね。
-- 『&sauna』を観ていても、豊澤さんってサウナに入る前からととのっている感じしますもんね。
そうなんですかね?それは初めて言われました(笑)
でも私は正直「ととのう」ということにも全然こだわりがないんですよね。先ほどはじめてととのったときのことを言葉にはしましたが、「なんだかよくわからない」というのが正直なところです。
実は『&sauna』でリポートするときも「ととのう」っていう言葉は全然使っていないんです。それを使わないように指示が出ているわけではなく感じたままを言葉にしているんですが。
私にとってサウナに入ることって、極論ただ行って入って汗をかくだけなんです。汗をかくのが好きだし、それで十分なんです。
あくまで歯磨きやトイレや食事なんかと同じ日常的な行為であって、全然特別なものとして捉えていませんね。
例えば勝負の世界において、日々の努力の積み重ねの結果として「勝利を手にできる”ときもある”」と同じように、”ととのう”っていうのもサウナに通っていたら「その感覚を得られる”ときもある”もの」なんだろうなと思います。
-- ととのうことに囚われずに、ナチュラルにサウナを捉えているのですね。ところで、サウナ時間を満喫するために工夫されていることは何かありますか?
先ほど言った「うしろに予定を入れない」ということもそうですし、あとは「荷物を少なくすること」ですね。
荷物が多くなると施設に行くこと自体が面倒に思えてしまうので。
シャンプーやリンスは施設の備え付けで十分ですし、着る服もTシャツ型のブラトップにして、タオル一本で行っちゃいます。
そうすると気持ちがとても楽ですね。
好きだから入る、好きだから食べる。それだけ
-- サウナビギナーの方にアドバイスをするとしたら、どんなことを伝えますか?
「ビギナーにやさしい施設に行くこと」をおすすめしたいですね。
具体的には、サウナ室の温度が低めだったりスチームサウナがあったり、水風呂もそんなに冷たくなかったり。
私の近所には23℃くらいの水風呂の施設があるんですが、水風呂に不慣れな友だちもそこなら大体入れちゃいます。プールと同じくらいですからね。
どうしても水風呂が苦手だったら無理に入る必要はなくて、掛け水や水シャワーだけでも良いと思います。外気浴を長めにとってクールダウンさせれば代わりになりますし。
結局はリフレッシュするためにサウナに入るだけなので、形に囚われずに好きなように入るのが一番だと思います。
-- まさにおっしゃる通りだと思います。ところで、豊澤さんが好きなサウナについて教えて頂けますか?
私は新富良野プリンスホテルに併設されている『紫彩の湯』がすごく好きです。
設備はすごく良いんですけど全然それを前面に出していなくて、「ただそこにあるだけのサウナ」というつつましさがとても好きなんです。
サウナ室はオートロウリュなんですけど仕組みが独特で、ストーブの上にチェーンの付いた逆三角錐のものがあってそこからポタポタと水滴が垂れているので、ずっと湿度が高めの状態で保たれているんです。
サウナ室と水風呂と露天が近いので動線もすごく良いですし、温泉もいい感じで。
また、ホテルの周辺にはラベンダー畑もあるので小旅行にもぴったりだと思います。
まだ他のサウナ好きの方々に発見されていない穴場なので、本当は内緒にしておきたいんですけどね(笑)
-- 『&sauna』で全国の色々な施設を巡っておられますが、北海道以外で印象に残っている施設はありますか?
大分にある『かじか庵』はとても印象的でしたね。
強炭酸の温泉があって、水風呂もミネラル成分がたくさん含まれていて鉄っぽい匂いがするんですよ。
サウナ室はコンパクトですがセルフロウリュが出来るんです。施設の方いわく、ニュージャパンと同じタイミングで日本で一番最初にセルフロウリュを取り入れたのだそうです。
サウナ室のBGMはヨガっぽい音楽で、露天ではまた違うBGMが流れているんです。
そういった諸々のセッティングすべてが私の好みでしたね。
『紫彩の湯』についても言えることですが、サウナサウナしていない雰囲気なのが良いですね。
-- ナチュラルさがポイントなのですね。さて、次が最後の質問になりますが、サウナ以外のオススメを何か教えて頂けますか?
これはずばり「果物」です!
私は果物インストラクターの資格を持っているんですけど、果物って世界中にたくさんの種類があって、どこの国で何が作られていて、旬がいつで、どんな食べ方があってとか、掘り下げるポイントが沢山あるんですよ。
他にも栄養素について学んだり、食べ合わせを考えてみたり。
例えばデコポンっていう果物があるじゃないですか。私の大好物なんですけど、あれってデコポンという品種名じゃなくて「不知火(しらぬい)」っていう品種の中の、糖度が一定値以上のものをデコポンって呼ぶんですよ。
それを知った時に「自分が大好きな果物のことすら全然知らなかったなんて、自分はなんて果物について無知なんだ!」と衝撃を受けましたね。
あと別の観点でいうと、それぞれの果物に対して「これをどうやって剥いて食べるんだろう?」と想像するとワクワクが止まらないんです。
-- 「剥く」というのがポイントなんですか?
はい、剝く行為も大好きなんです。
私の家庭では、昔から毎食後に果物が出てきたんです。それも「自分で食べる果物は自分で剥く」という方針だったので、習慣として自分で剥いて食べていました。
きれいに剥けると達成感がありますし、りんごのウサギさんみたいに飾りっぽく剥くことも楽しいなと思います。
-- てっきり美容を意識して果物を食べているのかと思いましたが、そういうわけではないんですね。
はい、別に身体に良いから食べているわけじゃなくて単純に果物が好きなだけ、それを剥くのが好きなだけなんです。
結局サウナと一緒ですね。
好きだから入る、好きだから食べる。それだけです。
(インタビュー・文:やのしん)
プロフィール
豊澤瞳
2018年にミスユニバースの日本大会へ出場し、北海道代表の歴代最高位となる第3位に入賞を果たす。
モデル・リポーター・ラジオパーソナリティ・ヨガインストラクターとして活動するほか、美容学校やセミナーで講師を務めている。
▼Twitter
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▼Instagram
https://www.instagram.com/hitomi_toyosawa/
▼豊澤瞳のくだものチャンネル
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▼サウナチャンネル『&sauna』
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