ザっくりととのうサウナ入門

サウナ初心者向けにサウナについてざっくりとわかるように紹介するブログです。

【寄稿】サウナと水風呂と私、愛するサウナーのため② ~サウナと胎児の影響って?~

はじめに

ご覧の皆様、こんにちは!以前、ザっくりととのうサウナ入門さんへかなりの駄文・長文を寄稿させて頂いたのに、懲りずに二度目の寄稿をさせて頂きますDDD@転勤族サウナ愛好家と申します。
僕のサウナ好きとしてのパーソナリティや自己紹介は2度目の寄稿ということもあり割愛致しますが、もし気になる方はザっくりさんのサウナーインタビューをお読み下さい!
zakkurisauna.hateblo.jp

併せて、以前の寄稿文も読んで頂くと大変嬉しいので、是非とも宜しくお願い致しますm(_ _)m
zakkurisauna.hateblo.jp

前回、サウナは使い方・入り方を間違えなければ妊婦・胎児への影響はないという内容の記事を寄稿させて頂きましたが、入稿した後も色々と調べていくうちにサウナと妊婦・胎児への影響を調べた他の報告が見つかりましたので、今回は第二弾として色々な報告を紹介させて頂きます!
某女性サウナー同士の「妊婦はサウナ使えないの?」という会話に端を発した内容でございますので、全ての女性サウナー、そしてパートナーと共にサウナを楽しまれている男性の皆様に捧げるつもりで書いておりますので、長文・駄文になりますが最後までお付き合い頂けると幸いでございます。
なお、これから記載していく内容はあくまでも僕なりにまとめて推測したものでございますので、妊婦・胎児には全く影響がないと断定するものではないことをご理解ください(個々人やその日の体調によってサウナ入浴のスタイルは違うと思いますので、ご自身にあった方法で無理なく入ってください下さい!)

本題

調査方法は前回と同様にPubMedにて(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed)サウナと妊婦の関係を調査しました。PubMedがよくわからない方は色んな科学や医学に関する文献が読める検索サイト的なイメージを頂くとわかりやすいかと思います。(詳しく知りたい方はこちらのWikiをどうぞ→https://ja.wikipedia.org/wiki/PubMed

PubMedで検索すると色々ヒットするのですが、すべてをこの記事で紹介すると長くなりますし、ご覧の皆様も読むのに疲れるでしょう(何より書いている僕も大変です…)。なので、今回はサウナと妊婦の関係を調べた3つの研究報告を紹介させて頂きます!

1つ目の報告

まず一つ目の報告ですが、妊娠中の温熱療法と胎児の心血管奇形への影響(図① 原題:Maternal hyperthermia during pregnancy and cardiovascular malformations in the offspring.  https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/1783056)を紹介させて頂きます。

f:id:zakkurisauna:20190105160513p:plain
図①:妊娠中の温熱療法と胎児の心血管奇形への影響

こちらの報告は1991年と古い報告ですが、妊娠中はサウナや発熱など温熱療法の素因となる多くの要因が胎児に害を及ぼす可能性があると考えられており、妊婦の職場の温度、生年月日、サウナの入浴、上気道感染症、および発熱が胎児の心血管奇形との関連の可能性を明らかにすることを検討した研究となります。
対象として1982~84年にフィンランドで記録された心血管奇形の573例と無作為に選ばれた健常例1055例を対照しております(こういう研究をしちゃうフィンランドのサウナ愛すごいわ…)。

研究結果は、妊娠初期の発熱(38℃以上)は、心血管奇形症例の妊婦の群(10%)の方が健常例の妊婦群(6%)よりも多く、それに伴い心房中隔欠損および左心形成不全のリスクが増加することが明らかになっており、上気道感染症も、健常群(18%)よりも心血管奇形症例群(26%)の方で高かったとあります。要するに、妊娠初期は風邪による発熱や上気道感染は胎児の催奇形性のリスクとなるということです。日本でも風疹が昨今話題になっておりますが、妊婦さんは外出時には出来るだけマスク着用・手洗いなどをしっかりするとともに、パートナーや家族にも徹底することが感染予防の観点から必要だと思います。
では、サウナはどうかと言いますと、サウナの入浴からは胎児の心血管奇形のリスクには関連していなかったとこの研究では報告されています!(ちなみに、職場の温度、環境の温度(四季による季節変動)も心奇形のリスクと関連していませんでした)
結論を言いますと、妊娠初期の発熱は赤ちゃんに影響を与える可能性ありますが、サウナはそれが証明されなかったということです。以前、寄稿させて頂いた記事でも書きましたが、胎児の催奇形性に影響を与えると考えられている母体の体温は39.0℃であり、サウナはこの閾値を超えることがないということが示唆されているということですね!これは妊婦サウナー・ママさんサウナーや妊活中サウナーへは朗報ではないでしょうか?(繰り返しになりますが、絶対安全というわけではなく、ご自身の体調に合わせて無理なくサウナを利用しましょう!赤ちゃんのためにも水分だけではなく、ミネラル補給もしっかりしましょうね)

2つ目の報告

2つ目の研究報告は小児期における母親の体温上昇への出生前曝露とてんかんのリスク:集団ベースの妊娠コホート研究というものです(図② 原題:Prenatal exposure to elevated maternal body temperature and risk of epilepsy in childhood: a population-based pregnancy cohort study. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21133969

f:id:zakkurisauna:20190105160723p:plain
図②:小児期における母親の体温上昇への出生前曝露とてんかんのリスク:集団ベースの妊娠コホート研究

この研究報告は2011年に行われたものですが、少し内容が難しいので結果の前に研究方法などを解説させて頂きます。
まず、コホート研究というものですが、分析疫学における手法の1つであり、特定の要因に曝露した集団と曝露していない集団を一定期間追跡し、研究対象となる疾病の発生率を比較することで、要因と疾病発生の関連を調べる方法です。ある病気の発生に喫煙が関係すると考えられる時に、患者でない人を集めて、喫煙習慣のある人とない人である病気の罹患率に差があるかどうかを調査・研究するということです。
コホート研究には前向き研究と後ろ向き研究があり、ある時点を起点に時間軸に沿って前向きに調査するか、時間軸をさかのぼって後ろ向きに調査するかでわけられます。一般的に前向き研究の方が精度の高いデータが取れますが、膨大な時間と大きな費用が掛かるといわれており、後ろ向き研究はその逆と言われております。(詳しく知りたい方はhttp://next-pharmacist.net/archives/5149をご覧ください)
何か言いたいのかと申しますと、2つ目の研究報告は1つ目の報告とは違う方法で調査されており、コホート研究というエビデンスレベル2a(図③参照)の調査方法で行われていて、一つ目の報告よりエビデンスレベルは高いものということであります。(ちなみに、一つ目の報告のエビデンスレベルは3)

f:id:zakkurisauna:20190105160838p:plain
図③:https://www.jsh.or.jp/liver/PDF/evidence_level.pdfより抜粋

前置きが長くなりましたが、ここから2つ目の研究報告を紹介させて頂きます。上記した通り、こちらの研究はコホート研究という方法でされており、研究の背景として妊娠中の体温の上昇は胎児に対する影響が示唆されているため、サウナ入浴とてんかんのリスクの関連を調査したものになります。

対象としてデンマーク全国出生コホート(DNBC)から86,810人の新生児を9歳まで追跡しました。各発熱エピソードの数、タイミング、レベル、期間、および症状を含む発熱に関する情報は、妊娠17週および32週前後の2回のコンピューター支援電話インタビューで収集され、母親のサウナ利用に関する情報はインタビューで集められ、てんかんに関する情報はデンマーク国立病院登録簿から得られたようです。(86,810人という人数から如何にコホート研究が大変であるかご理解頂けるでしょう)
調査の結果として、妊娠中の母親のサウナ入浴はてんかんのリスク増加と関連しておらず、温熱療法とてんかん発症の関連性はなかったとあります。てんかんは脳における異常な神経活動が原因とされておりますから、つまるところ、サウナ後の母体温の上昇は胎児の脳神経の奇形や障害には影響を与えないことが示唆されているということですね!(本題から逸れますので解説しませんでしたが、てんかんをもっと知りたい方はこちらをご覧ください→ https://www.tenkan.info/about/epilepsy/

しかしながら、泌尿器系の症状を伴う発熱に対して、少なくとも3回の発熱エピソードに曝露された小児の群でてんかんのリスク増加を発見し、発熱の根本的な原因や出生前感染との関連はより多くの研究を要すると記載がありますから、サウナ入浴後に泌尿器系の症状を伴った場合はすぐにお医者さんに受診された方が良いかと思います

3つ目の報告

さて、これが最後の紹介です。こちらの報告は所謂フィンランド式のサウナではなく、ラオスでの薬草スチームサウナの報告になります!調べるとラオスやカンボジアなどでは薬草スチームサウナを妊婦や産後のヘルスケアに使うことも一般的であり、いったいどんな効能があるのか調査してみようということなのでしょうかね。
研究名はラオスでのスチームサウナと分娩後の回復に使用される植物種の精油の慣行と化学成分について(図④ 原題:Steam sauna and mother roasting in Lao PDR: practices and chemical constituents of essential oils of plant species used in postpartum recovery.  https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22171719)という報告で、分娩後においてスチームバスは産婦の回復に重要な役割を果たすことが示唆されていますが、未だその薬効成分や化学成分が明らかになされていないため、この研究で解き明かそうということが目的です。ちなみに、この研究グループが別の研究にてどれくらいの種類の薬草が一般的に使われているのか調査したところ、合計55種類もの薬草が女性の医療に使われており、そのうち90%以上が産後の回復に使われていることが明らかになったとのことです(ラオス人の生活の知恵が半端ないですね!)。

まず、ラオスの薬草スチームサウナってどんなもの?という思われる方がいらっしゃると思いますので、そちらから紹介させて頂きます。
ラオスは国土の約70%は高原や山岳地帯のようで、豊富に薬草が採れるため伝統的な医療方法として薬草スチームサウナが利用されてきたとのことです。(ちなみに、ラオス料理にもレモングラスなどハーブが最も重要な材料みたいです。)薬草スチームサウナ内は真っ白になるくらい煙で充満され、レモングラスなどスッとする香りで充満されているようです。また、薬草サウナ上がりにはラオス式のパックを身体に塗るとサウナで開いた毛穴に成分が浸透し、美容効果が得られるとのことです。

■参考サイト:
・Naverまとめ ラオス薬草サウナ;
https://matome.naver.jp/odai/2140679685619072601
・Wikipedia ラオス; 
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A9%E3%82%AA%E3%82%B9
・Wikipedia ラオス料理;
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A9%E3%82%AA%E3%82%B9%E6%96%99%E7%90%86


気になる方はラオス薬草スチームサウナでググると色々なヒットしますが、特におすすめしたいのがLico @世界のサウナトラベラーさん(Twitterアカウント:@SaunaLico)のブログにある現地での体験レポートです!
butterfly2020.love
本当に素晴らしく現地の薬草スチームサウナがどのような利用をされているのかまとめられており、ラオスのみでなくカンボジアなど世界各国のサウナのレポートもあるので是非とも皆様にはご一読頂きたいと思いますね!(Licoさんのアクティブさとレポートの的確さは本当に尊敬しております。掲載許可頂きありがとうございます!)

f:id:zakkurisauna:20190105161103p:plain
ラオスの薬草スチームサウナの一例。Licoさんのブログから抜粋。こちらのサウナの隣にはレストレンが併設されているようです。 https://butterfly2020.love/world/laos-phonphaengsauna/

話を本題に戻しますが、ラオスの薬草スチームサウナには薬草から分離された成分で満たされており、主に酢酸ボルニル、ボルネオール、D-リモネン、リナロール、ネロリドール、フェンコン、テルピネン-4-オールおよびα-テルピネンという様々な化学成分があるそうです。
リナロール、テルピネン-4-オールおよびα-テルピネンは抗菌作用を持つことが報告されているようですが、吸入による産後回復期の産婦の病気を軽減するのに役立つわけではないようです。ただし、酢酸ボルニル、フェンコンおよびリナロールの鎮痛作用によって疼痛軽減や分娩創からの不快感を軽減することができると報告されております。
要するに、リナロール、テルピネン-4-オールおよびα-テルピネンなどは抗菌作用を有するので空気中の微生物の活動を抑え、酢酸ボルニル、フェンコンおよびリナロールなどの鎮痛作用により産後の不快感を軽減できるということで、やはり産後のケアには薬草スチームサウナは良さそうですね。薬草の効能は妊婦・産婦の手助けになるということですね!

そして、薬草スチームサウナと聞くとサウナーの皆様はあの「サウナしきじ」が思いつくのではないでしょうか?残念ながら僕はまだ行ったことはないですが、オーナーさんが直々に韓国まで韓方を買いに行ったりすると聞きましたので、しきじの薬草サウナでも効果はありそうな予感がします。また、薬草スチームサウナが無くとも、例えば薬湯などでもある程度の効果は見込めるのでは?と調べてませんが勝手に推測しています。(薬湯と聞くとチンピリの聖地「草加健康センター」などが思い浮かびます!)
妊婦・ママさんサウナーは上手に薬草サウナや薬湯などを利用すると、ご自身のヘルスケア向上の助けになるかもしれませんね!

最後に

以上、3つの研究報告をつらつらと駄文・長文になりましたが、まとめてわかったことはサウナはやはり適切に使えば妊婦の方でも入れるということです!何回も繰り返しになってくどいですが、自分の体調に合わせて無理なく入り、きついなら我慢せずにサウナには入らないという点が重要だと思います。そして、薬草サウナや前回の寄稿文でも書きましたがスチームサウナなどを上手く利用するとお腹の赤ちゃんにも悪い影響を与えることなく、気持ちよく汗をかけるのではないでしょうか?
今回の寄稿文が少しでも多くの女性サウナーの役に立てれば本当に嬉しいですし、幸いでございます。長文をここまでご覧頂きました皆様に御礼を申し上げるとともに、寄稿を受け入れてくださったザっくりととのうサウナ入門さん、そして快く写真やブログの掲載許可を頂きましたLico@世界のサウナトラベラーさんに改めて感謝を申し上げます。皆様、本当にありがとうございました!
いやぁ、サウナって本当にいいものですね。それでは、さよなら、さよなら、さよなら…


(DDD@転勤族サウナ愛好家)
twitter.com