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【インタビュー】満天の湯 久下沼常務に聞く!「オフロ保安庁」がつなぐ温浴業界の未来《2/4》

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インタビュー(1/4からの続き)

伝える者という役目


自分自身でいえば、オフロ保安庁を10年やってきた中で、単純に自分も年を重ねて役職も変わって、最前線で作業する機会も減ってきています。

自分が作業で得た経験をどんどん伝えていかないと、せっかく若い有望株が出てきても10年前の自分と同じところに陥ってしまうと思うんです。

僕も相談できる相手が欲しかった過去があるので、いまの僕が若い方にとっての相談役になれたらいいなと思います

また、今は検索すれば情報をキャッチできる時代で、若い方たちは僕らよりも検索能力が高いので、彼らにとって有益な情報をネットに上げていくのも僕の役目だと思います。

風呂屋をやってもう18年、オフロ保安庁としては10年やってきましたが、その経験を生かして役に立てることはあるなと思うし、それを伝えていきたい気持ちは年々増してきています。

それには新型コロナの影響も少なからずあったと思っています。

世の中が新型コロナ対策で衛生に対してかなり意識が向きましたが、僕らお風呂屋さんは普段からそういうのを意識してやっているから「何をいまさら騒いでいるんだろう?」っていう気持ちも一部あったんですよ。

消毒についてはもちろん、PCR検査も普段からレジオネラの検査で使っていたので一般の方よりも知見が多くあったんです。

だから、コロナ下でお風呂屋さんが危険視されたときも、「風呂屋って普段これだけの衛生管理をやっているんだからむしろ安全なのに」っていうもどかしい思いもしました。

そういった経験が、情報を伝えていく価値を知るきっかけになった気がしますね。

衛生管理セミナー

『オフロ保安庁』の本格始動

昨年でオフロ保安庁も10周年という節目で今後を考えたときに、もっと業界の方々が勉強や相談ができる機会を作って業界全体の水準を上げていく取り組みに本腰を入れる必要があると思いました。

また、オフロ保安庁というある程度認知度があるものを生かし切れてない自覚もあったので、それを生かしてより社会的に意義があることに取り組みたいとも思って。

あと、僕が機械オタクだと徐々に認知されたことで、施設の方から頼られることも増えたんですね。

設備や商品について「久下沼さんの紹介だったら試しに使ってみます」みたいな感じでおつなぎする機会がよくあって。

業者さんは業者さんで商材を売りたいし、施設の人は良い商材を選びたい。でも、どれを選んだらいいかわからない。情報は欲しいけど、かといって現場は忙しいので業者さんの飛び込み営業には対応しにくい。

そういう事情があるから、両者とつながりがあって知識もある僕が頼られるようになったのだと思います。

そのニーズに応える仕組みもオフロ保安庁の中に組み込みたくて、保安庁を組織化する中で、お風呂屋さんで働く個人会員とそこをサポートする業者さんによる賛助会員がいる構成にしました。

賛助会員の皆さんに少し運営費用の面倒を見ていただいて施設の方たちがなるべく安価に勉強できる機会を作って、その代わりに賛助会員にはPRタイムやブース出展などで効果的に営業ができる仕組みを作りました。

ただ、現状はまだ賛助会員の入会には制限を設けていて、基本的には僕と取引がある方だけにしています。実績も信用もあって、安心して個人会員におすすめできる業者さんだけにご協力頂いています。

というのも、まずはオフロ保安庁のブランドを確立するためにも、ちゃんと施設のことを考えてくれて、かつ僕が実現したいことに共感してくれる業者さんだけに絞りたかったんですね。

そうやってお声かけして、今は15社ほどの賛助会員さんがいらっしゃいます。


ーー お金だけ払って質の低い業者が入ってきちゃったら、それこそ団体自体の信用問題になってしまいますもんね。


それだと施設の方は個人会員でいるメリットがなくなってしまいますからね。施設の方たちにとって有意義な話を提供してくれる業者さんに限定したいなという想いがありました。

ブランディングがうまくいって審査する制度なども構築できたら、次のステップとして賛助会員を徐々に増やしていく予定です。


ーー オフロ保安庁を組織として運用し始めたのは今年からですか?


オフロ保安庁は今年の4月から会員制に移行しました

以前から会員組織にしてちゃんとお金を回す組織にしていきたいという考えがあったので、10周年の節目でちょうど良いきっかけだと思って組織化に向けて本格始動しました。

ただ、なかなか一人では事務的な仕事とかもこなすのは難しかったので、ニコニコ温泉の相良さんを運営にお誘いしました

彼も機械を触るのがすごく好きだったりして波長がすごく合う方だったので。

北海道セミナー

世代を越えた学び合い


ーー 相良さんとは以前から親しい関係だったんですか?


そうですね。「相良さんは銭湯界隈の中でも特に設備に詳しいらしい」という噂を聞いて気になったのがきっかけで、もう5年くらいの関係になります。

彼は20代半ばとは思えないぐらい知識が豊富ですし、新しいテクノロジーをどんどん取り入れるんですよ。

無鉄砲に勢いで動いちゃうところもあるんですが、「10年前の自分もそうだったな」と昔の自分を見ているみたいに映ったんです。

だからこそ彼を見ていて、「そのやり方はわかるけど、こういうリスクがあるよ」みたいなことを教えたくなるんですよね。

それに加えて、彼にとっても事務局的な仕事をすることが管理者の経験として会社に還元できることだと思って誘ったんです。

いかに迅速で正確な対応をするかとか、いろんな業者さんと関わる中でどう上手く対応するかとか、なかなか会社の中だけじゃ経験できないことを、一緒にOJT的にやって経験させてあげられれば彼にとってプラスになることだと思ったんです。


ーー この間現場で動く相良さんを見ましたが、とても自発的に仕事をされている印象でしたね。


そう、全然受け身じゃないんです。そういう子たちがどんどん活躍して、その様子を発信していくことで、20代の子たちがいきいきと風呂屋で働いてるシーンがあることを世の中に認知させていきたいですね。

そういう意味で彼はすごくシンボリックな存在です。


ーー 未来への先行投資という意味も含んでいるのですね。


そうですね。でも相良さんと一緒にやっていく中で、僕自身が彼から学ぶこともすごく多いんです。Webツールとかサービスなどの最新テクノロジー的な部分とか。

僕も昔はそういう情報を集めるのが好きでしたが、年々おっくうになってキャッチアップできていない自覚があったので、すごく助かっています。

それ以外の日常的な管理の部分なんかでもいろいろ彼なりの工夫があって、なるほどなぁと思わされることもあります。


ーー 知っているところと知らないところと教え合いできる関係性なんですね。


僕は年齢を問わず、自分の知らないことを知っている人は全員先生だと思うので、ありがたく学び合いをさせてもらっています。

相良さんもよく言うことですが、情報って発信する人のところに集まってくるんですよね。

だから保安庁の活動を続ける中でいろんな方との出会いがあって、普段では知り得ないことを知る機会がありましたし、業者さんからもいろんな紹介の話も頂きました。

例えば、「今こういうことを考えてるんですけど」みたいなテスト段階の話が来たりして、うちの施設でフィールドテストをやることもあったりしました。

久下沼常務と相良さん

チャレンジし続ける姿勢


やっぱり自分の店舗については「この施設は何でもポジティブに捉えて、新しいものに積極的にチャレンジしていく気風だ」っていう印象を外側に植え付けていきたいですし、その姿勢をうちの社員にも見せていきたいんです。

いま出しているパフォーマンスが100%だと満足せず、常に105%のパフォーマンスを模索し続けようという社風にしていきたいんです。


ーー だからそのために、久下沼さん自身が現状で満足しない姿勢でいるっていうのを見せ続ける必要があるんですね。


例えば、現状で管理が安定した薬剤を使用していたとしても、もしかしたらもっと高品質なものがあるかもしれないし、もっと安いのがあるのかもしれない。

より良い方法がないかアンテナを張って、いろんな情報から取捨選択してトライしてみるっていうのはすごく大事なことだと思うんです。

そういう姿勢は、僕は意識的に社員に見せるようにしていますね。

元を辿れば、弊社もそういう気風の会社だったんです。昔は染物の事業をやっていたのですが、その頃から現状で満足しない社風があって。

総理大臣賞を取った高い染めの技術を持っていたようなんですが、当時の社長はそれをオープンにしたそうなんです。当然、同業他社がそれを真似していったのですが、「別に真似されたってより良いものを作ればいいだろう」っていう考え方だったみたいです。

僕が支配人だった頃の当時の常務がその社長の側近で、イズムを継承されている方だったんです。僕はその常務とは十何年か直接的な関わりを持ったので、そのイズムを叩き込まれましたね。


ーー 確かに、会社としての理解がないと情報のシェアを先導することの許可が下りないですよね。


そうです。特に運営情報のシェアって、会社のノウハウを開示することですからね。

でも、自分の店舗の強みは隠しておきたいと思う気持ちもわかりますが、結局ひとつの店舗のノウハウなんてたかが知れてるものだと僕は思うんです。

僕はセミナーで自分の店舗のトラブル事例を紹介することもありますが、「こんな失敗しちゃいました」とか「こんな犯罪に巻き込まれました」とかっていうのを発信していた方が、「いや、実はうちもこういうトラブルがあってね」みたいに周りも打ち明けてくれるんですよ。

そうすれば自分の店舗では未経験の生きた情報がたくさん入ってくるので、自社のノウハウを隠し持っているだけより全然メリットの方が大きいと思います。

そうなるといざそれに直面したとき、自分の中で引き出しが増えているから対処できる確率が高まるじゃないですか。

実際経験してないことを予習として学べるというのは、やっぱり管理者としては大きいんです。


ーー それって、何か人の心理とすごい似てますよね。過去の自分の失敗や挫折をこちらが先に開示すると、「実は私も」と打ち明けられることはよくあります。会社でも個人でも同じなんだなと。


多分そうだと思いますよ。

また、同業者だけでなく業者さんからも新しい情報がよく入ってくるようになりました。「新商品ができたんですけど、久下沼さんこういうの好きでしょ?」みたいな感じで。

現場の業者さんならではの話やテクニックってあるじゃないですか。こっちは所詮素人で見よう見まねでやってきてるから、専門的な意見をもらえると安全性や確実性がグンと高まるんです。

それなりに知識を得たいまわが身を振り返ると、かなり無鉄砲だったなぁと思うことも多々ありますね(笑)


ーー 僕自身の話ですが、引っ越しのときに鍵交換やルームクリーニング業者さんの作業を見学したことがあるんです。そうしたら、業者さんが意外と好意的に丁寧に説明してくれたり、すごく役立つ知識を教えてくれたんですよ。


そうそう、本職だから知ってる情報っていっぱいありますよね。我々は所詮表面しか見えないですから。

保健所新卒配属者へのレクチャー

(3/4につづく)


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